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仕事に『思いやり』は必要?気がきかない部下VS指示不足の上司論争について考えてみた(後編)

前編に続いてご覧くださりありがとうございます。またまたバックオフィス担当渡邉です!

 

前編では、日本語の『思いやり』に込められた意味とその背景、『おもてなし』との違いについてまとめていきました。

 

後編ではいよいよ、「仕事に『思いやり』は必要か?」に対する1つの回答と、どうすれば出来るようになるのか?についてお話しします。参考になれば幸いです!

 

▼まだ前編をお読みでない方はぜひこちらから……

仕事に『思いやり』は必要?気がきかない部下VS指示不足の上司論争について考えてみた(前編)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●仕事をする上で『思いやり』を無視できない理由


前編を書くために本や論文、ネット、SNSのリアルタイムな意見等、様々な情報を見て回った結果、「やっぱり仕事に『思いやり』は必要だ」という結論に至りました。

 

・日本人が考える『思いやり』を体現するには、かなりレベルの高い技術を要する。
・日本人はそもそも他者を思いやる行動に慣れていない。

 

これらの理由により、人を思いやることが苦手な人が多いことは理解しました。しかし、「難しいならしょうがないか」「向き不向きがあるよね」で終わらせてしまうことで生じるデメリットが、無視できるものではないのです。

 


『思いやり』は人間関係を構築する上でかなり重要な要素であり、現代日本での会社経営において、共に働く人々が良好な関係を築けるかどうかは、社員のモチベーションや離職、生産性、売上、果ては会社の規模にまで影響します。

 

大げさと思われるかもしれませんが、”入社理由”や”転職理由”と検索すれば、事実であることがお分かりいただけると思います。

 

アドラー心理学の対人関係論でも「人の行動や感情は、相手との関係性で変わる」ことや、良好な人間関係を築く人ほど「相手を信頼し、仲間だと考え、相手のために何を与えられるかを考える」傾向があると言われているのです。

 

弊社コラムでも何度も取り上げていますので、よろしければ合わせてご確認ください。


これほどまで会社の未来に影響する要素を、目先の成果を理由に切り捨てるのは少々勿体ない気がしませんか?

 

 

 

 

……よかった!ありがとうございます!

ご賛同いただけた気がするので、「必要なのは分かったけど、じゃあどうしたらいいのか?」にお答えしていきたいと思います!(笑)

 


まずは、新入社員に対して、長い目で見守ることを前提に教育していくのはいかがでしょうか。

 

社会人になって、もしくは転職して環境が変わり、判断に必要な情報(相手の立場・性格・習慣・しぐさ、自分や周囲との人間関係、TPO、何が起きているか、何が原因か等々……)がまだ十分ではない状況に身を置いているわけですから、特に気にかけて見ていく必要があると思います。

 

また、思いやりやおもてなしに必要な『察する力』の習得には場数も必要です。仕事を覚えて社外の方と関わるようになったとき、適度なおもてなし精神を発揮できるように、社内コミュニケーションの場で練習を重ねておいてもらいましょう。

 

 

 

 

●適度な『思いやり』を身につけるポイント①:負荷と不安を減らす


今回はポイントを2つご紹介します。

 

1つ目は、『共感力』に自信を持たせることです。

 

前述の通り、思いやりのある行動には、相手の気持ちに寄り添うこと、つまり”共感”が必要です。
ですが、この”共感”は、単に難しいだけでなく、かなりの認知コスト(脳にかかるエネルギー等の負担)と精神的な努力が必要な行為であるため、無意識のうちに避けようとする人が多いのです。

 


この問題はとてもシンプルな方法で改善出来ます。それは、共感力に自信を持たせること。
「自分は共感が得意だ」と思ってもらえるように声掛けをすると、自らすすんで共感することを選んだり、感じる大変さが軽減されるそうです。

 


よって、「察せと言われても分からないものはわからないから……」と諦めてしまった人がいたら、まず自信をつけてもらうところから始めましょう。
正しい判断が身についたことに対して、「(おっ、よしよし)」と思うだけでとどめず、「ちょうどお願いしようと思っていたんだよ!助かる!」「まさにそう考えていたんだ」等、言葉で伝えます。

 


また、たとえ間違ってしまっても、こちらのことを考えた上での行動であるわけですから、頭ごなしに否定する事は避けてください。

 

なぜなら、言われた側の自己防衛反応を発動させてしまい、自分を守ることを優先するようになってしまいかねないためです。そうなれば、思いやりを発揮する以前に、言い訳やセルフハンディキャッピングに逃げてしまい、改善行動すら取れなくなってしまうので注意しましょう。

参考:多くの人が「共感」を避けたがることが判明|ナゾロジー

 

 

 

 

●適度な『思いやり』を身につけるポイント②:納得と安心を与える


2つ目は、『バリュー』や『カルチャー』を判断軸に、発揮すべき思いやりのレベルを調整することです。

 

繰り返しますが、思いやりのある行動を取れることは当たり前ではないため、意識や練習が必要です。
その上、”どれだけ重要だと考えるか”が、人によって違うというところにも気をつけなければなりません。

 

「思いやりは時間の無駄。始めから具体的に指示をした方が生産性が高まる」
「察することを求めるのは怠慢ではないのか」
「自分にメリットが無いのになぜそこまで求められなくてはならないのか」
「むしろ相手におせっかいだと思われるのではないか」
等、どちらかと言えばネガティブなイメージを持っていることもあります。

 

部下や後輩からこうした不満が出たとき、どう返していいか迷いますよね。
そんなときは、自社の『バリュー』や『カルチャー』を規準に話すのがおすすめです。

 


例えば、
「商品と一緒に”安心”も提供するのがモットー。不安や疑問を与えないよう、報連相はこまめにやる習慣を!」
「上司や先輩への遠慮は“イノベーションを生み出す”上で邪魔になるから不要!全部言葉にしよう&それに対する否定や批判は禁止ね!」
といった伝え方をします。

 


これには以下のメリットがあります。

⑴自分が選択した結果に紐づいているから腹落ちしやすい。
 バリューやカルチャーに惹かれて(少なくとも受け入れたから)入社を決めているはず。
⑵全ての社員にとっての共通認識となっているはずなので、「教えてくれる人によって求める度合いが違う……」というあるあるが起きにくい。
⑶「ここまでリソースを割いて良いのか?」「おせっかいにならないか?」等の、行動時の不安を取り除ける。
⑷安心感によって積極的に行動できるため経験値が溜まりやすく、都度指導するより早く改善できる。

 


ポイントは、個人としての価値観や考え方を変えようとするのではなく、「なぜこの会社ではその行動が求められるのか」について理解してもらうことに焦点を当てることです。

 


いざやるとなると難しそう、と思われたら、ぜひ弊社へご相談ください。“思いやり”と銘打つことなくあくまで研修の一貫としてお伝えすることも可能です!
社会人としての心構え、成果を出すために必要な考え方、報連相や基本的なビジネスマナーにいたるまで、全てのコンテンツに貴社のバリューを紐づけた研修をご用意できます。

 

 

 

●まとめ


今回は、『思いやり』の意味を見つめ直し、なぜ気がきかないのか、どうすれば出来るようになるかについて考えてみました。

 


今回のポイントはこちらです。
・日本人が考える『思いやり』を体現するには、かなりレベルの高い技術を要する。
・日本人はそもそも他者を思いやる行動に慣れていない。
・『思いやり』と『おもてなし』は別。どちらが必要な場面かを明確に。
・会社が何を重視するかによるが、やっぱり仕事にも『思いやり』は必要。
・『思いやり』は負荷と不安を減らす&納得と安心を与えることで身につく。

 


今回の結論は、あくまで1つの意見として捉えていただければ幸いです。
組織は、見えているものといないもの、重要だと思うものやその度合いが違う人が互いを補完し合うことで強くなります。目の前の人と対話し、都度アップデートしていくことで、会社ごとに必要な思いやりの形を見つけていただけたらと思います。

 

前後編に渡りお付き合いいただきありがとうございました!
次回もお楽しみに!

 

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