モチベーション企業の研究~「働く野性」を引き出す組織デザイン~
今回おススメする本は
モチベーション企業の研究~「働く野性」を引き出す組織デザイン~
という名前なのですが、
帯にはでっかく
「若者はなぜやる気がでないのか?」
と書かれている内容でした。
冒頭の文章で、
国際比較調査結果で、日本人の働く意欲は比較対象国の中でほぼ最下位
という衝撃的な結果だと書かれています。
2007年に23か国1万3832人の従業員を対象として実施した調査で、仕事に対する満足度、労使関係によせる
信頼感、ワーク・ライフバランスなど、いずれの指標においても日本は23ヶ国中最下位になったと。
そして、もうひとつは世界的コンサルティング会社が16か国8万3000人に対して調査をしたところ、
働く意欲が16か国中15位だったそうなのです。
以前、日本は、世界中からワーカホリックと揶揄されるほど仕事に没頭していたのにかかわらず、
大きく変化していると書かれています。
しかし、ここからこの本が面白いのは、野村総研で、各世代別の労働者にアンケートを取ったところ、
仕事に対しての価値観や意欲は全く違う結果が出てきたとしているのです。
20代、30代前半を新世代だとすると、40代以降を前世代と表しますが、
前世代と新世代の仕事に対してのアンケートを取ると、
会社への貢献意欲というのは前世代よりかなり新世代が下がっているのですが、
「自分を成長させたい!」
「やりがいのある仕事ができるなら辛いことも我慢できる」
「目標に向かって挑戦していきたい」
という意欲は、前世代よりも新世代の方が高い傾向にあるのです。
つまり、現在、若者がやる気がないといわれ、実際に世界中から見ても仕事に対する意欲が下がっているのにも関わらず、働いている若い世代は、仕事に対してモチベーション高く働きたいという意欲を持っているという結果が出てるのです。
しかし、問題は、そういった新世代の意欲と過去から続いていた日本企業の仕組みがマッチしていないために、
若い世代は会社に就職し、働くということに失望し、意欲を無くしていくという予測が建てられているのです。
これは、今、時代が大きな変化をしており、それに適用できていない企業と個人が
ミスマッチを起こすことによって生じる様々な問題が働く意識の低下、ニートの急増などを
引き起こしているとしているのです。
我々、個人も変わらないといけないのですが、
企業も今変わらないとこれからの時代では生き残っていけないのです。
そんな中で、モチベーション企業として、従業員がイキイキ働く会社を事例紹介し
わかりやすく解説しているのがこの本。
働く意欲を引き出すには、大きく分けて
経済的原動力と非経済的原動力と分かれるとしています。
経済的原動力とは、
給与、待遇、インセンティブ、賞与、ストックオプションなど金銭的価値がもたらす原動力です。
非経済的原動力とは、
金銭的価値以外の仕事自体の面白さや醍醐味、職務を通じた自己成長の実感、仕事仲間との切磋琢磨、
顧客からの賞賛などがあります。
そして、新世代が仕事に対して求めている欲求
「次世代の五大欲求」は、
・仕事に対する意味欲求
・成長・上昇欲求
・創造性発揮欲求
・承認欲求
・自己実現欲求
に分かれるとしています。
この5つの欲求に対して、どうアプローチしていくか?
そして、実際にモチベーション高く働いている企業は
どこに、どんな施策でアプローチをかけているのかを具体的企業で説明しています。
ワタミや星野リゾート、GooGle、バンダイ、武蔵野、玄人集団など、
様々な企業のアプローチを解説しています。
とにかく、なかなか読みごたえのある一冊で、
経営者、人事部、仕事を探している人、
もっと情熱もって働きたい人にとってもおススメな本です。